なぜ漢検2級の四字熟語問題は難しいのか?

 

漢検2級の四字熟語は合格者でさえも苦戦している

漢検2級は全常用漢字の読み書きが問われる「漢字オタク一歩手前」のテスト。

2級は単なる読み書きだけではなく、漢字にまつわる多くのセクションで構成されています。

 

その中で最も難易度が高いのが

四字熟語

です。

その証拠に「合格者の平均点」が物語っています。

『漢検 2級 過去問題集 2021年度版』に掲載されている第1回目の四字熟語問題(四)の合格者平均点をみましょう。

  • (四)問1:15.4点(20点中)
  • (四)問2:8.8点(10点中)

2級をパスする猛者であっても、四字熟語の「書き」が問われる問1では、20点中15点。

単純計算、

正答率は77%です。

第1回目だけでなく、そのほかの試験回の平均点も20点中15点。

そして、第4回に至っては20点中13.9点ではありませんか(正答率は69.5%)。

2級は正答率80%で合格ですから、四字熟語の問1は「合格者の足でさえ」引っ張っていることがわかります。

 

なぜ漢検2級の四字熟語問題は難しいのか?

実際に2級へ挑戦し、四字熟語の難易度の高さを痛感してきたわたしが、その真の理由に迫ります。

 

不明瞭な出題範囲

まず、出題範囲が非常に不明確である、という点です。

公式ページには以下のように書かれています。

《四字熟語》
典拠のある四字熟語を理解している(鶏口牛後、呉越同舟 など)。

はい、そうです。

公式情報では、

  • 鶏口牛後
  • 呉越同舟

の2種類しか公表されていません。

具体的に「典拠のある四字熟語」が何を表しているのか教えてくれないのが現実です。

 

この「不明瞭な出題範囲」がゆえ、漢検2級の四字熟語は対策を取りづらいです。

とりあえず公式テキスト『ステップ』に掲載されている四字熟語を覚えたり、公式過去問をやりまくったりすることでしか、四字熟語対策はできません。

 

あまりに多すぎる四字熟語

以上のような課題を、わたし自身も持っていました。

そこで実際に、漢検公式テキスト・過去問題集を読み漁って、四字熟語の出題数を数えました。

漢字検定2級の公式『ステップ』、

さらに、18年度分の過去問題集(2021年度〜平成17年度)。

1年度当たり13回含まれているので、計234回分の過去問を参照したのです。

その結果、

全299種類の四字熟語が出題されていると判明!!

ある程度過去問をこなすと、出題パターンは見えてきました。

しかし、それでもそんなに問題同士で被らずカウントにも苦労いたしました。

この調査結果から、

およそ300の四字熟語を「満遍なく」覚えなければ満点を取れないのが漢検2級だ、と判明しました。

 

「書き」と「意味」が問われる

そして、問われる内容も難易度も高いです。

「四字熟語を聞いたことがある」「漠然と知っている」だけではアウトで、

  • 漢字を正確に書ける
  • 意味にも通じている

必要があるわけです。

もちろん、四字熟語自体を知らなければ1歩も動けません。

このように四字熟語の問題は、他のセクションと比べて対策の負担が大きいのです。

 

日常であまり使わない

根本的なボトルネックは四字熟語の「日常での使わなさ」です。

一般人にとって、四字熟語は日常生活でなかなか使うものではありません。

ここぞという「決め言葉」で使う密度の高い語句です。

日常で四字熟語を連発していたら煙たがられますし、万が一、相手が四字熟語に精通していない事態も考えられます。

四字熟語を発したら

「えっ、それどういう意味?」

と問われ、意味を懇切丁寧に解説しなければなりません。

 

それゆえ、普通に生活をしているだけでは四字熟語力は身につきません。

意識的に、自発的に、漢字検定2級のために暗記しなければならないのが四字熟語なんです。

 

以上のように、漢字検定2級の四字熟語はなかなかに難易度が高いです。

と、いうわけで、作っちゃいました、漢検2級対策の四字熟語帳。

過去234回分の問題を参照し、出題された四字熟語をすべてカウントしました。

漢検2級の四字熟語対策にぜひご活用くださいませ。

 

それでは!

Ken